── |
さあ、屋外編のラストはこれです。 |
ボーズ |
あ、ペットボトルね。
これさあ、猫よけでしょ? もとは。 |
── |
うん。おそらく。 |
ボーズ |
猫がオシッコしないってやつでしょ? |
── |
うん。効くの? そもそも。 |
ボーズ |
いや、あれ効かないでしょ。
だってあれピカピカして嫌だとかいうけど、
よけてる猫見たことないよ。
じゃれててもおかしくない。
ゴロニャーンみたいな。 |
── |
でも、効くからやってるんじゃないの? |
ボーズ |
って思うけど、少なくとも、
犬はあれ見たらオシッコすると思うよ。
シャーって。 |
── |
コパン(ボーズさんの愛犬)は
嫌がったりしてない? |
ボーズ |
いや、ぜんぜん。 |
── |
ぜんぜん(笑)。 |
ボーズ |
こんなガブガブ噛みまくるよ、きっと。 |
── |
あははははははは。そうだね。 |
ボーズ |
あり得ないと思うんだけどなあ。
迷信っていうかもう、誰かが言い出して、
もうなんにもやらないよりは
ましかっていう程度じゃない?
この家にしても、均等に置いてたりして、
猫よけというよりは、
ちょっとしたインテリア感覚だし。 |
|
── |
うん、デザインして置いてある(笑)。
でもさあ、この家、客観的に見ると、
つつじはきれいに咲いてるし、
置かないほうがいいんじゃないかっていう。 |
ボーズ |
あのままにしときたいよね。
いきなし異物じゃん、みたいな。 |
── |
均等には置いてあるけどさ。 |
ボーズ |
そうだよね。でも犬猫よけには
絶対ならないと思うよ。 |
── |
でもさ、飼い主がペットボトルがあると、
「あ、ここは」って、よけない?
そっちの方が重要じゃない? |
ボーズ |
そうか。その意志表示だ。 |
── |
ここんちはうるさいぞ、
怒られるぞ、ってことだよね。 |
ボーズ |
もうペットボトル置いてあるってことは
「オシッコすんな」とイコールだからね。
だからもう、気持ちの問題だ。 |
── |
気持ち、意志表示。 |
ボーズ |
うん。するなよっていう。 |
── |
まあ、当然のこととして、
オシッコはしてほしくないんだけど、
わざわざ書きたくないじゃん。
「フンをさせないでください」とか。 |
ボーズ |
そうかそうか。ペットボトル置いときゃ
置いてんの分かってるだろみたいな。 |
── |
うんうん。 |
ボーズ |
でもさ、だとしたらさ、
そりゃ日本人にしか通用しない言語でさ、
外国人から見たら不思議な風景だよね。 |
── |
うん(笑)。 |
ボーズ |
アートだよね。なんで日本人は
こんなものを玄関先に並べてんだ、みたいな。
それは不思議だろうな。 |
── |
こう、いまの文明が途絶えて、
遺跡みたいになったとすると、
考古学者はなんて解釈するかね。
あの、ポンペイみたいに、
火山灰がガーッと降って
街が埋まっちゃったりすると。 |
ボーズ |
均等に並べられたペットボトルをね(笑)。
あちこちの家の前に
タッタッタッタッてペットボトルが。
「これはいったい?」って。 |
── |
なにかのまじないでしょ、みたいな。
あながち間違ってもないみたいなことを。 |
ボーズ |
「動物の墓である!」とかね。 |
── |
でもさ、家の中にもあるわけじゃん。 |
ボーズ |
うん。 |
── |
風呂場に入れたりするでしょ。 |
ボーズ |
ん? なにそれ。 |
── |
浴槽にペットボトルをいくつか入れとくと、
水道代節約みたいな。 |
ボーズ |
え? 何で? 水かさを? |
── |
そうそうそう。 |
ボーズ |
あはは。小っちぇー(笑)。 |
── |
そんなのもあるから、考古学者たいへんだよ。 |
ボーズ |
あちこちで、謎の使われかたを
されてるわけだからね。
もう、なんとか土器、みたいな扱いだよね。
「この土器は、飲み物の器だけでなく‥‥」 |
── |
「あらゆるものに使われ‥‥」 |
ボーズ |
「飯を食ったり‥‥」 |
── |
「祭りに使ったり‥‥」 |
ボーズ |
そうか、いまは、
「ペットボトル文化」なんだ。 |
── |
「ペットボトル文化」(笑)。 |
ボーズ |
ていうか、根本には、
ペットボトルが余ってるという
状況があるんだよね。
こんだけ世の中にペットボトルあるとさ、
やっぱ、余るじゃん。
捨てるとか、リサイクルとか言っても、
それだけじゃなんかもったいないって
思えるくらい日常で余ってるからさ。
そういう意味では、いいアイデアだったんだよ、
「猫よけになる」っていうのは。 |
── |
ああ、なるほどね。
「じゃあ、さっそく並べよう!」ってことに。 |
ボーズ |
なったんだよね。猫に困ってなくても。 |
── |
この余ったペットボトルに
使い道があるなら、ってことで。 |
ボーズ |
使い道できた、みたいな。 |
── |
うんうん。浴槽に入れるっていうのも、
そっちが先っぽいよね、どっちかっていうと。 |
ボーズ |
そうそうそうそう。 |
── |
「ペットボトルが余ってる」
っていう意識が、先にありきなんだ。 |
ボーズ |
だってさ、ペットボトルって、
余る量が大きいじゃん。
ぐびぐびぐびって飲みきったとしたら、
この空間が余ってしまったってことだからね。
2リットル飲んだらさ。 |
── |
え、なに? 2リットル飲んだら、
2リットルぶんの空間が
余ってしまったっていう考えかた? |
ボーズ |
そうそう(笑)。 |
── |
あはははははは!
それは、すげえ(笑)! |
ボーズ |
この狭い部屋の中に
2リットルの空間はデカイ、みたいな。 |
── |
2リットルの空間か。そうか。 |
ボーズ |
ゴミとしてもペットボトルの
ゴミ袋ってすごくなるじゃん。 |
── |
なるなる(笑)。空間の余剰感、あるある。
そうかそうか。潜在意識としてそれがあるから、
人は、「ペットボトルの再利用」に
飛びついちゃうんだ。 |
ボーズ |
そうそう。 |
── |
じゃあ、あれかな。
ボトルシップとかもそういう発想なのかなあ。
ほら、ビンの中に
船の模型作っちゃったりするやつ。 |
ボーズ |
ああ、そうだね。ビンも同じだよね。
ビン全盛期は、いまのペットボトルと
おんなじ感覚があったでしょ、きっと。 |
── |
「この空間余っちゃったよ」っていう(笑)。 |
ボーズ |
そうそう。じゃあ、なかに船つくって、
ちょっとしたアートにしちゃえと。
あと、ペットボトルロケットってあるもんね。 |
── |
ああ、あるあるある。 |
ボーズ |
あれはまさにそうだよね。
とにかくペットボトルを使いたいんだよ。 |
── |
空き缶も昔はいろいろあったよね。
空き缶を使ってなんとかしようとか。 |
ボーズ |
あったね。空き缶。
あと、タバコの箱で傘作るとかね。
なんか、どんどんオカンの話とかに
なってくるんだけど。 |
── |
はははははははは。 |
ボーズ |
そういうことになってくると。
根本的にリサイクルって
そういうとこあるからな。 |
── |
つまり、リサイクルって、元に戻したり、
トイレットペーパーにする
だけじゃないっちゅうことだよね。
猫よけにしてみるっていうのも
観念的にはリサイクルじゃん。 |
ボーズ |
うん、そうね。そのまま使えるリサイクル。
フリースになるとか聞くと
意味なくうれしいのも、
そういうことなんだよな。 |
── |
実際はけっこう、
リサイクルされてないっていう
話も聞くけどね。 |
ボーズ |
あ、そうなの |
── |
ペットボトルをリサイクルするお金と、
捨てるお金じゃ、
リサイクルするほうが圧倒的に高い
っていう話を聞いたことがあるよ。
だから、リサイクル用に集めたはいいけど、
けっきょく捨ててるとか。 |
ボーズ |
わー、ひどいねえ。 |
── |
あ、いかん、
ハンパに社会派のコーナーになってる(笑)。 |
ボーズ |
『東京なんとか』みたいになってるね。
やばいね。そういうコーナーじゃない。 |
── |
おかんの話から、オヤジのうんちくに。 |
ボーズ |
あはははははは。 |