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佐藤さんは、
ファッション誌の編集者ということで、
もちろんお仕事関係でもゲイの方との
おつきあいがあると思いますが、
ご家族にもいらっしゃるんですよね? |
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はい。兄がゲイなんです。 |
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お兄さんがゲイだということに
気づいたのはいつですか? |
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私が中学生で、兄が高校生だった頃かな。
でも、その時はちゃんと彼女もいたから
別に気にしていませんでした。
しばらくして、私が高校生になったある日、
兄はすでに家を出ていたんですけど、
母が電話口で兄と話している声が
聞こえてきたんです。
「●●ちゃん(佐藤さんのこと)には
言っちゃダメよ」
って母が言っているの。
私は
「なになに?
聞こえているんですけど」みたいな。
でも、なんとなくピンときて
「知ってるもん!」って言ったら
「知らなくてもいいことがあるのよ!!」って、
すっごく怒られてびっくりしましたね。 |
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お兄さんがカミングアウトした時、
佐藤さんはどう思いましたか? |
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抵抗なく受け入れられました。
その時つき合っていた彼が
ステキだったからっていうのもあったかな。
女性から見ても憧れちゃうような、
インテリジェンスがあり
かっこいい外国人だったんですもん。 |
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ご家族の反応はどうでしたか? |
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父は、最初からゲイであることを
認めようとしていましたね。
認めなきゃやり切れない
っていうこともあったと思うけど、
自分の子どもを
否定することはしたくないって。
母は、大切に育ててきたから、
その分ショックが大きかったみたいでした。
しばらく呆然としていたんですけど、
父がゲイの本を買ってきて、
家族みんなでゲイについて知ろうとしましたよ。 |
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とても前向きなご家族ですね。
お兄さんはおうちに
彼をつれて遊びに来たりするんですか?
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来たこともありましたね。
あと、日本人をよく知っている
外国人の方がいらした時は、
菓子折りを持って来たりしましたよ。
「つまらないものですが」と言って。 |
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あはははは。
おうちに菓子折りを持ってくるって、
よく考えるとすごいですね。
ところで、お兄さんがカミングアウトした
キッカケってなんでしょう? |
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先に言っちゃったほうが
ラクだからじゃないでしょうか。
ある年齢になってくると、
近所の人から「ご結婚は?」とか聞かれたりして、
隠し通せるものでもないし。
それに別に悪いことを
しているわけではないでしょう? |
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お兄さんがゲイに目覚める要素や徴候は
生活の中にあったと思いますか? |
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昔から異常にきれい好きでしたね。
兄はシンプルなものがすきなので、
私がレターセットとかシールを集めているのも
すごい、いやがられましたよ。
「君の部屋は無駄なものだらけ」って。 |
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きっと他人に対しても
「こうあってほしい」という
美意識があるんでしょうね。 |
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きっとそうです。
そういえば、
私は床に座るのが好きなんですが、
「床に座るからスタイルが悪くなるのよ!」
と言われたこともありました。
それと、一緒にお買い物に行くと
「離れて歩いて」って言うんですよ。 |
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えー、なんでですか?
女の子と歩きたくないということでしょうか? |
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違うんです。
「もっとかわいくなってね」って
いう意味ですかね 。(笑) |
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ひえー、きびしいですね。
洋服なんかについてもそうですか? |
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私は黒い服が好きでよく着るんですが、そうすると
「Xのファンじゃないんだから、
そんなのやめて!」って。 |
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やっぱり「シンプル」ということが
キーワードのようですね。
日本人と外国人のゲイ、なにか違いは感じますか? |
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外国のゲイはゲイであることを恥じていないし、
周りも認めていますよね。
ゲイ本人より、
周囲の反応のほうに違いを感じます。
まだ、母がゲイを理解しきれていなかったころ、
一緒にサンフランシスコに行ったことがあるんです。
むこうはゲイもたくさんいるので、
一般の人たちも彼らを
「人間」としてちゃんと扱っている。
母もそれを自分で体験して、
一気に理解できたみたいです。
「かっこいい人みんなゲイなのね。あら〜」なんて、
変な安心感も持っちゃったみたいですけど。
そういう意味では、
日本はまだまだ閉鎖的だと思います。
日本人のゲイは会社では言えない、
言わない方が楽、仕事がしやすいですよね。
それが唯一、OKなのがファッション業界、
そして「二丁目」という特殊な場所があるのかなぁ。 |
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ゲイの友だちと男女の友だち、違いはありますか? |
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あるゲイの友だちがいるんですが、
彼は周りを歩く人を、
ことごとく否定するんです。
「もぉ、きたないわねぇ!」とか、
「くさいわ」、「下品!」って。
それと、洋服が気に入らないと
着替えに帰っちゃったりするの。
しかも突然。
それはすべて
「美」に妥協しないからですよね。
そういうのが私もわかっているから、
まったくいやじゃないんですよね。
ウソがないからラクチン。
そういう意味では同性よりつき合いやすいです。 |
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最後に、家族にゲイを持つ身として、
なにか一言ありますか? |
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今の時代ならではの、
すてきなことだなって思います。
「そういう人もいるんだ」
って、理解してほしいですね。
彼らは本当にナイーブだから、
簡単に否定はしないでください。
私たちと、なんら変わりはないんですもん。 |