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河野さんはスタイリストをしていらっしゃいますが、
仕事関係にゲイの方はいらっしゃいますか? |
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スタイリストという仕事がら、
ショップやアパレルのプレスルームに
よく出入りしていますが、
やっぱり
ファッション関係には多いですよ。
原宿にある某セレクトショップはね、
なんと店員全員がゲイなんです。
でも、いわゆる「モロにゲイ」ではなくて、
見た目はふつうのおしゃれな男の子。
ただ、しぐさや言葉づかいがそうっていう。
みんなオープンだからとっても話やすいし、
美意識が高いから、アドバイスも的確、
自分のことみたいに真剣に考えてくれるんです。
そのお店に売っているものも、
セクシーだけどかわいいものが多くって、
すっごくおしゃれ。
メンズもの中心なんだけど、
私もよくのぞきに行くんですよ。 |
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ファッション業界のゲイの方ってどんな感じですか? |
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そうだなぁ。
たとえば、そのお店のスタッフのひとりは、
靴にお花のコサージュを自分で作ってつけたりして、
アイデアがあるんです。
「既製品をそのまま」じゃなくて、
工夫して自分のものにしちゃう。
そういう「こだわり」って、
やっぱりゲイだからこそな気がしますね。 |
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仕事でゲイの方に学んだことはありますか? |
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やっぱりね、さっきも言ったけど
美意識の高さがすごいでしょ。
「きれに」に関してはいろんなことを考えているから、
「なるほど」って思わされることが多いんです。
例えば、アパレルのプレスルームに行っても、
ゲイのプレスのほうが、ふつうのプレスより、
明らかにファッションに対してのこだわりが強い。
そこはとても勉強になりますね。
これは私がよく行っているところの話ですが、
きっと他のプレスにも当てはまるんじゃないでしょうか。 |
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ゲイの方のファッションの特徴ってありますか? |
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ゲイの人はネックレスとかね、装飾が過剰。(笑)
でもね、ぜんぜん嫌みじゃなくて、
その人のキャラクターになっているの。
ちゃんと自分を知っていて、
うまく見せる技術を持っている。
それから、「このブランドがすき」っていうより、
どう着こなすかに気を使っている気がしますね。
シンプルだけど全体のシルエットがきれいな人が多い。
ゲイにはコム・デ・ギャルソンやYohji Yamamotoが
好きな人も多いと思うけど、
あれもシルエットがきれいっていうブランドでしょう。
肉体をきれいにみせる服。
あと、「ふつうはないだろっ」っていう
ワンポイントをもってきたりするところも
ゲイの人が好むところですよね。
もちろん、
それに賛同するふつうの男の子もいるんですけど、
それはハイファッションな人なんです。 |
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つまり、センスのいい人が選ぶブランドには
ゲイ率が高いということなのでしょうか? |
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そう言えるんじゃないかな。
トップファッションデザイナーにも、
ゲイはたっくさんいますもんね。
ファッションはゲイがひぱっている
と言っても
過言じゃないかもしれませんねー。 |
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ところで、なんでファッション業界には
ゲイが多いと思いますか? |
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やっぱり「美意識」でしょうか。
特にヘアメイクさんに多いのも
「変身願望」のあらわれでは?
でも、この業界のゲイのみなさんは
総じてノリがいいので、現場には不可欠です。 |
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なるほどー。では、プライベートの
ゲイフレンズはどんなカンジですか? |
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絵を描いたり、パフォーマンスをしたり、
モノを作ったり、自己表現をする人が多いですね。
ドラァグクイーンをやっている
ヴィヴィアン佐藤さんっていう友だちがいるんですけど、
夜はパフォーマンスをしたり、
ライブペインティングをしたり、
すごくエネルギッシュ。
でもね、
昼間は建築事務所をやっているふつうの人なの。
ふつうって言っても、黒のメッシュを肌に一枚で
着てたりするんですけどね。(笑)
「四谷婦人会」っていうゲイの会の会長もしていて、
よくゲイ仲間と温泉とか
おいしいものを食べに行くんだって。 |
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なんだかたのしそうですね。ところで、
ゲイフレンズと、ふつうの男女の友だち、
なにか違いはありますか? |
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んー、特に違いを感じたことはないかな。
ただね、
今回あらためて身の回りのゲイの数を数えたら
けっこう多いの。自分でもびっくり。
でも、私のまわりのひとはみんなオープンなゲイ。
ゲイであることをネタにして楽しんでいる人が多い。
だから、男とか女とかゲイとか、
そんなのまったく関係ないんです。
強いて言うなら、常に美を意識していて、
それを人にもはっきり言うのがゲイの友だちかな。
「今日の格好にそのメガネだとバランス悪いわね〜」とか、
はっきり言う。
自分をよく見せる方法を
いつも考えているところは、あっぱれです。 |
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話している時っていうのは
やっぱり女の子同士なノリですか? |
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そうですかね。
女子高のりでキャーキャー言っています。
ただ、女の子同士で話すのはもちろんたのしいんだけど、
それはふつうですよね。
ゲイの人と話すとね、
そこに「おもしろい」が加わるんですよ。
リアクションが過剰だし、話もおもしろい、顔は男だし。
あと、映画を観たときとかに、
「○○のシーンの部屋のカーテン、すてきよねぇ」とか、
ディティールの話ができるのもゲイならではでしょうか。
男はそんなとこ、観てないですからね。 |
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ゲイフレンズとはどんな話をするんですか? |
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ゲイの人は自分の趣味の話がすき!
映画とか写真とか絵画とか、
やっぱり文字よりビジュアルがすきなんですよね。
本の話とか、
そういえばあんまり聞いたことないですもん。
それに、きれいに対する向上心があるから、
いろんな知識があって
話をしていて飽きないんですよ。 |
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しかられたことはありますか? |
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ないですね。
でも、ゲイの人はしかるときも
かるーく言いのけちゃうんですよね。
きつく言いつつ、はははは〜んみたいな。
もし、それが男女の友だちだったらカチンとくることも、
自然に受け入れられちゃう。
それってやっぱりゲイの魅力なのかな? |
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では、逆に何かアドバイスをもらったことはありますか? |
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私はふだん男の子っぽい格好が多いんですけど、
ゲイの友だちからは
「もっと女の子らしさを出せばいいのに」とか、
「もっとこうすればいいところが出るわよ」とか、
アドバイスをもらったりしますね。
そんなの似合わないよーって思ったりしますが、
でも「うん、それもそうかもな」って考え直して、
取り入れたりすることありますよ。 |
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恋愛話とかはしますか? |
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相談に乗ってもらったりしますよ。
私が「どうしよー、どうしよー」って言っていると、
「あの男をゲットするにはこうすんのよー」
って。
彼らはカミングアウトしたり、
人生経験がふつうの人より豊富。
しんがつよいんですよね。
だから、恋愛話に限らず、
私が落ち込んだり悩んだりしているときも
「だいじょうぶ!」「いける!」って力づけてくれます。 |
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いいゲイフレンズですね。
ところで、河野さんは「二丁目」行ったことありますか? |
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実はないんですよ。
すごい、行ってみたいんですけどね。
この本は「二丁目」の人たちの言葉なんですよね?
ゲイの人の言葉って、
普段私たちも考えているんだけど
忘れちゃっていること、見逃していることを
ちゃんと常日頃わかっている、
意識しているんだなって思わされます。
いい本ですね。
興味はあるけど、
まわりにはゲイがいないっていう人には
ゲイの考えていることを知る
いいきっかけになるんじゃないでしょうか。
この本に登場してくるゲイのみなさんに
拍手を送りたいです。 |
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ありがとうございます!
最後にゲイの方にメッセージはありますか? |
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ゲイの人には自由に生きてほしいと思いますね。
実際苦しんでいる人も多いので、
そういうのがなくなって、
「人間」として素晴らしくあればいいなと思います。
って、この本の受け売りですけどね。(笑) |